2017年4月2日日曜日

三島由紀夫原作、美輪明宏主演「葵の上、卒塔婆小町」@新国立劇場



カーテンコールの時になにかわけわからないものが込み上げてきて涙が止まらなかった。
「泣いてたでしょ、あたしベンチのシーンではちょっと寝ちゃった」と妻。

ちょっと寝ちゃった、寝ちゃった・・・・・・
価値観の違いが大きすぎる。猫達といい妻といい俺とは価値観が違いすぎる者たちと暮らしています。

観劇のあと、ちょっと贅沢な寿司を食べながら「俺は前世でよっっぽど良いことをしたようだ」というと妻は微笑んだ。

「卒塔婆小町」
美輪さんは最後の台詞を削った。その理由を上演パンフレットに書いてあります。
恋する男を救おうとする〈女〉の情念なんだろうか。叶うことのない情念。

俺は、この戯曲をどうしても豊饒の海と重ね合わせてしまう。
生き延びて老醜を晒すしかない〈人〉は、輪廻する者の〈何か〉に恋せざるを得ない。

小町は99歳という設定なんだ。
若いときって99歳なんて永遠のように思えたが、この歳になるとちょっと先って感覚です。
時間は不思議。

俺は少しずつ老醜を晒し始めている。 俺は誰かに恋をしたことがあるかなと。

99年が永遠に感じるときもある。

だが、永遠に続く苦しみは無いと信じたい。
恒轉如暴流 阿羅漢位捨



      edit

0 コメント:

コメントを投稿